膝蓋骨内方脱臼(Medial patellar luxation: MPL)は小型犬に多くみられる最も一般的な膝関節の疾患です。
膝蓋骨は膝の前面に存在し本来脱臼することはないのですが滑車溝の形成不全、大腿骨の外旋、脛骨の内旋などに伴い内方に脱臼することがあります。痛みを伴わないこともあればスキップしたり足を拳上してしまうなど症状は様々です。重症度によって4段階に分けられます。
グレードⅠ・・・膝蓋骨は手で押すと脱臼するが手を離せば正常位に戻る。
グレードⅡ・・・膝蓋骨は膝を屈曲するか手で押せば脱臼し、膝を伸展するか手で押せば整復する。
グレードⅢ・・・膝蓋骨は常時脱臼したままで、徒手整復可能であるが手を離せば再び脱臼する。
グレードⅣ・・・膝蓋骨は常時脱臼し、徒手整復されない。
※グレードⅠであれば外科的治療は必要なく体重管理やサプリメントなどで維持できます。※グレードⅡやⅢでは足をあげたりキャンと鳴くなど、症状があれば外科的治療がすすめられます。
※グレードⅣは外科手術なしで膝蓋骨を正常位に戻すことはできません。
膝蓋骨内方脱臼G3に対し整復手術を行った症例
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